ニートアイランド現象
ほとばしるいじめてオーラをエコロジー路線で活字にするための徒然。短めのを載せてみたりします。長いのは暖め中。

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「向こう」


 がっしゃああああああああん。ってね。
 両腕を交差させて部屋のガラスをぶち破ると、破れて舞った細やかな破片が、飛翔する俺に擦れて肌から僅かに血がにじんだ。しかしこれでいい。
 ガラスの向こう側は天空も地平線までもが贅沢に見渡せて、果てしのなさに肌がひんやりした。風が吹き抜けて前髪がはためく。飛んでいる心地がする。
 やった。やったぜオレ。
 ついに抜けた。外に出られた。しがらみから抜け出して、どこまでもいける。自由っていいっ。
えくぼをひん剥いて一心に向かい風を受けて、空中でガッツポーズをする。そんな束の間。
 風が途切れて。カラダが重力に引き寄せられた。
「はなれては駄目っ」
効きなれた声が俺を地面へ引き止める。
「たった一人でどこに向かおうというの?君だって怖いくせに」
 ・・うるせえ。
 ・・そんなの俺の勝手じゃないかよ。放せよ。俺を繋がないでくれ。そんなぎゅうぎゅうに縛ら
なくたっていいじゃんか。畜生:。
墜ちた柔らかい土の感触に痺れて俺はつぶれた。怪我をしない程度に柔くてそれでいて足場
のしっかりした地面だ。その半端な痛みに身をよじりながら、また脱出に失敗したのだと内心で確信。
「おかえり。今日はおそかったね」
 ほうら。そうしていつもいつもあの女が待っていやがるんだ。四方を白い壁に囲まれた不格好な部屋。床は柔い茶色の土のくせに都合よく空調が効いて台所とベットが備わっている。原子炉でもつかっているんじゃないかってくらい、白熱灯やその他電力を消費している。
 エプロン姿で出迎えてくれてる。
「待ってあげてるんだから礼くらい言えばいいのに」
「サンクス」
「心が足りてない。味噌汁作ったから、これで補給しな」
 そうして女の子はニンジンやらかぼちゃやらアンバランスな具沢山をぼくに差し出す。味噌色のおつゆが揺れて零れそうになるのを慌てて受け止めた。慎重に零れないようにテーブルへ運んで食卓に並べた。晩御飯の時間のようだ。
「出口は、あった?」
「なかった」
 良くわからないこの「部屋」に二人して閉じ込められていた。
 気づいたら、そうなっていた。生活用品が整えられているのに何処か居心地のおぼつかない閉鎖空間。出入り口はなくて、縦横一面を囲う白い壁の合間に、四角いガラスが等間隔で貼られるばかり。その窓向こうの景色は黒く塗られていて中からは見えない。ガラスを割った先にはは爽快に大きな絶景が広がっているのだけど、眺めたのもつかのま転移だかなんだかで、この白い部屋にもどされるという仕組みをしていた。
 二人でごはんと味噌汁を食べてる間、適当にどうやって出るか話し合った。俺が先行してみてくるよと言うと彼女は「危ないから、無茶はしないでよ」と困った顔をして頼んだ。そんなこといったって、出口を見つけなきゃ永遠ここで暇な生活をしなきゃいけないんだ。死なないだけましだけど。
「行ってくるよ」
「うん。待ってる」
 気をつけてと手を振って見送られた。また、ガラスを突き破って外へ。両腕を前にクロスさせて。がしゃああんってね。
深緑とか浅海とか夕焼けとか原色の色合いが語りかけてくる。吹き抜ける突風が前髪を薙ぐ。
窓向こうの世界は美しく語りかける。しかし、何か足りない。必ずそこにあるはずの大事ななにかがない。どんなに綺麗でもどれほど憧れるものであっても、俺一人で見つけては、意味がないように思える。俺一人で彼方へ向かうということが摂理にそぐわない気がする。
 いつもいつもうざったいくせに、離れるととたんに寂しくなって側に戻りたくなるんだ。って、気づいた。奴が待っていてくれて初めて前に進めるという甘え。
 きっとあいつも同じ。離れるのが怖いから心のどこかでいっしょにいたいとか想っちゃってるんだ。はずかしい奴め。
窓の向こうの美しい壮大な景色は俺を迎え入れることもなく消えた。また、地面にたたきつけられると顔を上げた先に彼女がいた。ボロボロになった俺を心配してか包帯をもっている。かまわず、掌を強く握った。
「あ・・・」
なつかしい、温かい触れ心地。離したくない。
「ちょっ・・。どうしたの?」
「いっしょにいくことにした」
「待って。そんないきなり:手当てしなきゃ:」
「知らん」
 ガラス窓の先は見えない。でも、この暗闇の先には確かになんか美しげな世界があった。その景色をこの幼なじみといっしょにみたかった。
「飛ぶぞ」
「・・ねえ」
「なに?」
 振り向くと、彼女はほんのり目を細めて
「それ、ずっと待ってた」
 唇の端っこをにやけて、照れて笑った。俺もにやりって自信満々に不適な笑みって奴を返してやる。そのまま掌を引いて、走って跳躍。背中にひゃっほぃぃぃとかはしゃぐ彼女の声を受けて俺は飛んだ。飛んでやった。 ・・ざまあみろ。
 窓をぶち破った向こうには色のある世界が待ってる。

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