ニートアイランド現象
ほとばしるいじめてオーラをエコロジー路線で活字にするための徒然。短めのを載せてみたりします。長いのは暖め中。

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HALF
 ピンク色もあせて、赤黒いかさぶたを張り詰める、熱く脈打つマコの切り傷。
その手首は夕のオレンジに染まってセピア架かってる。痛いだろうに、剥がしてはまた剥がして消すまいと弄っている傷。ふやけた包帯は照れ隠しなのかそれとも僕に気づいて欲しいのか、紅く滲んでいる日とそうでない日があって曖昧に悲痛に僕を呼び寄せた。だから包帯が紅いときだけ、マコと会話する生活をしていた。
「痛い?」
「別に」
とかね。そういう放課後の教室。
今日のマコもいつもどおり机に腕枕をうつぶせてじくじく、夕日を浴びて眠っている。包帯が紅く滲んでるから、彼女が起きるまで寝顔でも見て待つ。起きてからは適当な言葉を交わしていっしょに帰る予定だった。
死人みたく静かな寝息をたててる。
ふとファンシー模様なキミドリの筆箱に惹かれた。ジッパーを開けた中に消毒殺菌されたみたいに綺麗なカミソリを発見。試しに右の手首に強くあててみると切断する際の重苦しい痛みの前兆とでもいうべき粒が空気に溶ける。マコが目を覚ました。おぼろげな目つきをはっと見開いて僕を睨んだ。
「やめて、くれない」
「半分こ」
 キミはバカの子かい?と彼女は声を震わせて言った。左右に唇をひしゃげて綻んだ僕の歪な笑顔が不思議だったのか、理解できなくて脅えてるのかはわからないけど、じぃと目を離さないで睨んでた。
「だから、半分こ」
「迷惑だわ・・」
「じゃあ、仮に・・」
「なに・・?」
「ぼくがこのままコレ。落としちゃったら君はどうする?」
 手首にカミソリをあてたままぶちって、擦ると彼女の包帯と同じ色が漏れた。ぼたぼた、零れて机に落ち生臭い鉄混じりのかほりが広がる。痛みはあんまりない。むしろ僕はまだ笑っているに違いなかった。この傷によって、マコと繋がった気になれてる自分に酔っていた。
「きっと見捨てるわ」
「じゃあやるね」
 感覚のない肉の断触。発砲スチロールのように無感動に無思慮に無邪気に、マコに近づきたいからと嘯いて、無鉄砲な施術をした。ノコギリほどにもミシンほどにも痛くない。ホント
満面に頬が緩んでく。楽しかった。
しかしマコは、自分の包帯を解いてカミソリをもった僕の左手を掴んだ。
刃は朱の雫を滴らせて動きを止める。
そしてね。僕の手首を掴んだまま、震えながら、半分だけ解いた包帯を僕の紅い傷にあててくれる。
「これは?」
「だってキミ、半分こって。言ったし・・」
 俯いて、前髪で表情を隠してマコは照れてた。
「無視して帰ればよかったのに」
「帰りたいから君を巻いたの」
 僕の右腕に彼女の傷を塞ぐ包帯がぐるぐる半分だけ繋がった。
「とっとと帰りましょ」
 そうしてマコはバックを片手に席を後に歩く。容赦なく傷口を引っ張られて痛みが蘇った。どこか拗ねた風に僕を引っ張ってる。
「もしかして、泣いてる?」
「だって泣くしかないじゃないのさ・・」
「優しいねマコは」
 そして包帯ごしにほそめの指と染みた血の熱を感じた。先刻、夕日の淡さに光ったマコの涙はとりあえず忘れて、僕は柔らかい温もりをずっと離さないようにしようかなと。華奢な背中を見て思った。狂おしくても痛くてもマコを離したくないから包帯ごしに傷口を包む。なだらかな指が絡んで安心する。夕焼けの霞。放課後の涼しい橙。
そして僕は彼女の痛みをはんぶんこすると誓った・・。

・・・。その後知る・・・。

マコの肩口と、鎖骨と、へその脇と、ソックスの中と、足の裏と、左右の肩甲骨。無整頓に、深く熱く刻まれた傷もはんぶんこしなきゃいけないことは。
まだ知るよしもないのだけどね。
・・・うん・・・。
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コメント
この記事へのコメント
Good
なかなか良かった! 長編で 読みたい
2006/09/12 (火) 23:24:42 | URL | ナリサキ #-[ 編集]
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