ニートアイランド現象
ほとばしるいじめてオーラをエコロジー路線で活字にするための徒然。短めのを載せてみたりします。長いのは暖め中。

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午後のシンデレラ時計
腕時計を見ると12時ぴったりで止まっていてびっくりしてシマッテァばにゅんっっ。太陽は西へ傾きかけているというのにっ!
推定体内時計は四時だけど、もし時間が合ってなかったとしたら彼に迷惑をかけてしまう。五時に駅前って約束したのは、私だ。遅れて待たせるのだけは避けなきゃいけないと思っていたのに。公園のベンチで本を呼んでうたたねをして、遅れてごめんじゃあ怒られるどころじゃ済まされない。ただでさえズボラって言われているから、もしかしたら愛想をつかされるかもしれない。二度と眼もあわせてくれないかもしれない。ああ。
「そもそも時計が止まってセットしたアラームが作動しなかったのがいけねんだよっこの、カスがーっっ」
私はひとりごちてもしょうがないと、がばっと起動してヒールを引っ掛けて走る。すぐに砂場でつま先を引っ掛けて転んだ。べしゃっと音を立てて、顔が砂に埋まる。頬やら睫やらに砂がついてなんだかひどいことになってるに違いない。すくっと立ち上がり。負けるもんか、時間がわからなくたって走ればいい。そう自分に言い聞かせる。不屈の闘志だ。 
後で彼が喜びそうなことをしてあげれば、きっと愛想なんてつかされないはず・・・。
 公園のある住宅街の一角を抜けて大通りへでる。通行人がときおり私を見てくるのはきっと砂とかがついてひどいことになっているからなのだろうけど、じつは美貌に吸い寄せられているんでしょ、と解釈する。待ち合わせ場所は駅前広場。噴水の前。息を切らせて到着すると彼は―――いた。噴水の前で本を読んで待っていた。
「はぁあ、あ~~~~待ったぁ?」
 私はごめんね、ごめんねぇと何度も、息切れで上がらない頭を下げた。腕時計を見るとまだ12時で止まったまま壊れている。よくみると秒針まで00ぴったりなことに気づいて、どれほど天文学的なのだろうとか思ったりする。すぐに、どの秒針にとまっても確率はいっしょじゃないと気づいて自分の脳に絶望。ついでにヒールの踵や足首もがくがくになっていることにも遅れて気づく。もしかしたら、私はもうだめかもしれない。
「まあ、座れよ。つーか大丈夫?顔やばいよ」
 彼は心底私を心配しているように、ハンカチで頬を拭いた。でも、ずうずうしくないソフトなタッチで、そういう奴だからわざわざこうして呼び出して堂々と打ち明けなきゃって思うのだ。
「でさ、用事って何?」
彼は私に問う。
「あ、はあ。え~とね」
そうして私は彼に打ち明けた。
何を打ち明けたかなんて人にいうもんじゃないから言わないけど。
もちろん私はシンデレラなんかじゃない。鈍感な彼も王子になれるわけが無い。
ただ、止まった時計が私の根性を駆り立ててくれて、心配性の彼が気遣ってくれたってことは事実だから、そういう面で時計にはとても感謝している。
たったそれだけのことなのだ。
 その後彼とふたりで、新しい時計とシューズを買いに行った。彼は「初日だから値が張るのでもいいよ」といってくれたが、私は3900円の運動靴を希望した。
 今、私の宝箱(木製)には壊れて動かなくなった腕時計が入っている。12時ぴったりで止まった、心底、恨めしい天文学的物体。それでも彼は言う
「必死になって走ってる姿が、なんか、良かったかもしれない」
当時はほんとう必死だったけど、今は言える。きっとこの腕時計は私の一番魅力的な姿を引き出してくれたのだ、ってね。

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