ニートアイランド現象
ほとばしるいじめてオーラをエコロジー路線で活字にするための徒然。短めのを載せてみたりします。長いのは暖め中。

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屋上ヘルアンドヘル(2)
 
OLさん(26♀)は短めの黒髪でメガネをかけていて、見ようによっちゃ、綺麗な女性だった。ビル同士の間隔は端を繋げても10メートルほどあるから細やかな造形までは良く見えないけど、繊細な印象を持った人だった。
「あのぅ何やってんですか?腕なんか組んで・・・」
OLさんがガチガチに腕を組みながらペロに声をかけた。少しだけ互いの距離があるため、自然と語尾が延びて叫ぶ感じになる。
「べ、別に、ちょっと仕事がいやでサボってたんです」
「あ、そうなんですか・・・実は私も。いろいろ・・・」
「いろいろと、い、いうと?」
「そ、そんなこと、あなたに関係ないじゃないですか」
 OLさんは腕組を解いて、ほんの2、3秒沈黙。両手をぷらぷらさせて
「それより、邪魔なんで帰ってくれません?」
ペロを恨めしげににらめつけてから、プイとそっぽを向いた。何かとてつもない衝動に追われているような雰囲気でペロを威圧しているようでもあった。「うぅ」と物怖じしたペロは給水タンクから降りて体制を立て直そうかと考えたが、そうすると自分の、ビルから飛び降りることに対する意気込みが薄れてしまうような気がしたので、気を強く持って留まることにした。そのためには向こうのタンク上にいるOLをなんとかして帰らせる必要がある。
見ず知らずの人に、しかも女性に見られた状態でビルから飛び降る、そんな頭のおかしいことはペロには無理だったのだ。
ペロはOLさんに向かって叫ぶ。
「僕も用事があるんですよ。あなたが帰るまでここから動きませんから」
女性はまた恨めしく目を細めたままペロに視線を向けた。
「なんか特別な理由でもあるんですか?」
「あ、ありますよ。重大なことなんです」
「どうせたいしたことじゃないんでしょ」
「これから僕はっ、このビルから落ちるんですよ」
沈黙が―――波のようにOLさんに伝わってゆく。電線に乗ったカラスが何羽か泣き声をあげる。ペロは構わず声を続ける。
「あなたがあ、ここで何をしてたって、どうせあと何分か後には僕はもう地べたで血だまりなんです。するとあなたはとても気持ちの悪い思いをしますっ。この先の人生でふと思い出して気分を害したり、ノイローゼになったりするんです。いいんですか?いいんですか?そんなん」
ペロはまるでもうふっきれてしまったかのようにまくし立てる。これで、OLさんが怖気づいて、もしくは狂人と思って悲鳴なんかあげて、いなくなってさえくれれば一瞬で飛び降りれる自信がペロにはあった。
 しかしOLさんは、冷静に・・・そんな感情なんてもういらないと吹っ切れた口調で
「それは困らないよ」
断固否定し
「でしょ・・・え?」
 ペロの同様もおかまいなしに
「うん。だって私も今これから落ちようって決めてたから」
まるで未来なんかないとでも言わんばかりに
「それに訂正して頂戴。わたしはもうOLなんかじゃないの。クビになったから」
 青白い表情でペロに微笑みかけたのだった。

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