ニートアイランド現象
ほとばしるいじめてオーラをエコロジー路線で活字にするための徒然。短めのを載せてみたりします。長いのは暖め中。

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屋上ヘルアンドヘル(1)
十二階建てのビルの屋上は地上よりもずっと、青空の白雲や地平線が見渡せて、たいそう気持ちの良いところだった。
差し込んだ日差しと、植物らしいにおいを含んだ風が、春の兆しを感じさせている。地上で這いつくばってあせくせ働いているときは意識もしなかったが、こういう世界の機微を鮮やかに感じ取れる人は生きているという実感をもてるのだろうとペロ(28歳♂)は思った。しかしそれも自分の世界とは縁のないことだろうとも納得していて、その諦めがペロの決心をより頑ななものにしていた。彼は今日、ここから飛び降りると心に決めていた。
 自分をクビにした会社に何食わぬスーツ姿で出社するやいなや、逆恨みの怨念とともに非常階段を駆け登り、塗装のはげた鉄製ドアを開け放った。
 ――十二階建てのオフィスビルはたいそう気持ちの良いところで、吹きぬける春の風や季節の機微を感じれる人は、生きている実感をもてるのだろうなぁとか考えながら、ペロはドアの裏手にある給水タンクのはしごを登る。足を着き、背筋を伸ばし、給水タンク上で腕を組む。ふふふ、と。なにかつぶやいている。これから自分が死ぬ街を俯瞰し、モチベーションを高めるという作戦だ。それに、飛び降りるなら一番高いところだなとペロは心に決めていた。
「ああ・・・ヒトがゴミのようだ・・・」
一度言ってみたかったんだよなと一人ごちて、腐った街並みを一望する。両手を広げて腰をねじりながらあたりを見回し
「あ・・・」
そして自分が死ぬこの街を一望して、飛び降りるという手はずだったペロは、隣のビルの給水タンクを見て、驚きのあまり声をあげていた。
自分と同じ目線で、給水タンクで腕組をしながら腐った街を見下ろす、OLさんの格好をした人と目が合ってしまったからだ。
「ああ・・・ヒトがゴミみたい」
ペロが見ているのに気づいていないOLさんはそう言って腰をねじり―――ペロの存在を確認してから―――「あ・・・」短い声を上げた。恥ずかしさでみるみる顔が高潮してゆく。
腕を組んで余裕ぶっこいたポーズをしていたふたりは、状況が良くわからないという風に、幻覚であってほしいと願うように目をこすりながら、互いを凝視していた。
会社の昼休みまではかなりの時間があることを、東に傾いた太陽が示していた。

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